2012年3月31日土曜日

がん対策推進基本計画の改定を患者目線で考えてみよう 013 最終回

時間が無くなってしまいました…もっと指摘したいところはあったのですがタイムアップです。
あとは時間がないので、散文でもいいので指摘してほしいなということです。

【ご意見の提出方法】
(※)氏名や連絡先を記入することなく、ご意見のみを提出することも可能です。
 
★インターネットの場合
  1. 電子政府の総合窓口http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495110426にアクセスいただく
  2. ページの下にある「意見提出フォームへ」ボタンをクリックする
  3. 「提出意見」の欄にご意見を記入いただき、「確認画面へ進む」ボタンをクリックする(氏名や連絡先電話番号は任意記入です)
  4. 画面に示される認証番号を入力した後に、「提出する」ボタンをクリックして完了




☆ガイドラインの改訂、ガイドラインの普及について
がん対策基本計画によって、5大がんや、患者数の多いがんに関してはガイドラインが出版された。しかし、「ガイドラインが発売後1回も更新されない」「新しい知見がでてもガイドラインに反映されない」「ガイドラインが高額である」などの理由から以下のような施策をお願いします。
  • ガイドラインをオンラインでリアルタイムに更新されるようしてほしい。
  • ガイドラインに関する費用は製薬企業などが引用する際の費用支払いなどで賄いガイドラインの料金を無料化してほしい。
  • ガイドラインを医療の均てん化に用いられるようにより良いものにしてもらいたい。
☆がん医療の均てん化について
がん医療の均てん化についてはまだまだ地域間格差にはバラツキがある、そのためにがん登録の実施、ガイドラインの充実・普及などの対策を行わなくてはならないのではないか。また今回の基本計画(変更案)には離島医療については記載されていないので離島医療、へき地医療についての対策も今後検討してほしい。

☆ドラッグ・ラグについて
がん対策基本法ができる背景には患者が治療薬を求める戦いがあり、今もなお適応外医薬品においては対策が十分とは言えない。厚生労働省として医政局(臨床研究など)、医薬食品局(薬事承認など)、保険局(保険適用など)が一同に会して議論する場がないのが問題であることは近年患者会から指摘されており、厚生労働省としてがん医療におけるドラッグラグ対策を行うため、問題を全体的に見渡し、ラグ対策をおこなうための検討会をただちにはじめてください。その際には米国などでのコンペンディアムの検討を行うこと。




 本当はもっともっと書きたかったですが、筆者自身もまだパブコメを提出していないのでこれから提出します。
13回もの間お付き合いくださった皆様ありがとうございました。

がん対策推進基本計画の改定を患者目線で考えてみよう 012 緩和ケア

明日がパブコメの締め切りですが、みなさん提出されていますか?
かけたところからでいいのでこまめにパブコメをネット投稿していってくださいね。

【ご意見の提出方法】
(※)氏名や連絡先を記入することなく、ご意見のみを提出することも可能です。

★インターネットの場合
  1. 電子政府の総合窓口http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495110426にアクセスいただく
  2. ページの下にある「意見提出フォームへ」ボタンをクリックする
  3. 「提出意見」の欄にご意見を記入いただき、「確認画面へ進む」ボタンをクリックする(氏名や連絡先電話番号は任意記入です)
  4. 画面に示される認証番号を入力した後に、「提出する」ボタンをクリックして完了

さて、がん対策推進協議会を傍聴していて、一番あかんやろ…と思っていたのが緩和ケアの部分でした。
緩和ケア専門委員会も設置されたはずなんですけどね…。


(取り組むべき施策)患者とその家族が抱える様々な苦痛に対する全人的なケアを診断時から提供し、確実に緩和ケアを受けられるよう、患者とその家族が抱える苦痛を適切に汲み上げ、がん性疼痛をはじめとする様々な苦痛のスクリーニングを診断時から行うなど、がん診療に緩和ケアを組み入れた診療体制を整備する。また、患者とその家族等の心情に対して十分に配慮した、診断結果や病状の適切な伝え方についても検討を行う。

拠点病院を中心に、医師をはじめとする医療従事者の連携を図り、緩和ケアチームなどが提供する専門的な緩和ケアへの患者とその家族のアクセスを改善するとともに、個人・集団カウンセリングなど、患者とその家族や遺族などがいつでも適切に緩和ケアに関する相談や支援を受けられる体制を強化する。

専門的な緩和ケアの質の向上のため、拠点病院を中心に、精神腫瘍医をはじめ、がん看護の専門看護師・認定看護師、社会福祉士、臨床心理士等の適正配置を図り、緩和ケアチームや緩和ケア外来の診療機能の向上を図る。

拠点病院をはじめとする入院医療機関が在宅緩和ケアを提供できる診療所などと連携し、患者とその家族の意向に応じた切れ目のない在宅医療の提供体制を整備するとともに、急変した患者や医療ニーズの高い要介護者の受入れ体制を整備する。

がん性疼痛で苦しむ患者をなくすため、多様化する医療用麻薬をはじめとした身体的苦痛緩和のための薬剤の迅速かつ適正な使用と普及を図る。また、精神心理的・社会的苦痛にも対応できるよう、医師だけでなく、がん診療に携わる医療従事者に対する人材育成を進め、基本的な緩和ケア研修を実施する体制を構築する

学会などと連携し、精神心理的苦痛に対するケアを推進するため、精神腫瘍医や臨床心理士等の心のケアを専門的に行う医療従事者の育成に取り組む。

これまで取り組んできた緩和ケア研修会の質の維持向上を図るため、患者の視点を取り入れつつ、研修内容の更なる充実とともに、必要に応じて研修指導者の教育技法などの向上を目指した研修を実施する。

医療従事者に対するがんと診断された時からの緩和ケア教育のみならず、大学等の教育機関では、実習などを組み込んだ緩和ケアの実践的な教育プログラムを策定する他、医師の卒前教育を担う教育指導者を育成するため、医学部に緩和医療学講座を設置するよう努める。

緩和ケアの意義やがんと診断された時からの緩和ケアが必要であることを国民や医療・福祉従事者などの対象者に応じて効果的に普及啓発する。

(個別目標)関係機関などと協力し、3年以内にこれまでの緩和ケアの研修体制を見直し、5年以内に、がん診療に携わる全ての医療従事者が基本的な緩和ケアを理解し、知識と技術を習得することを目標とする。特に拠点病院では、自施設のがん診療に携わる全ての医師が緩和ケア研修を修了することを目標とする

また、3年以内に、拠点病院を中心に、緩和ケアを迅速に提供できる診療体制を整備するとともに、緩和ケアチームや緩和ケア外来などの専門的な緩和ケアの提供体制の整備と質の向上を図ることを目標とする。
こうした取組により、患者とその家族などががんと診断された時から身体的・精神心理的・社会的苦痛などに対して適切に緩和ケアを受け、こうした苦痛が緩和されることを目標とする。

わー、ラインが派手になってしまいました。

患者のみなさんは緩和ケアに何を望んでいますか?
「身体や精神の痛みをとってほしい」ってことですよね?

でも、実際に行うことの緑の部分は、「人材育成」。黄色の部分は「提供体制」。

確かに医師にきちんと研修を受けてもらって、提供体制が整えばいいことも起きると思いますが、現在行われている研修は1泊2日程度。
それで本当に緩和ケアってできるんですかね?
また、そんなに広く受けるべきなんでしょうか?
正直、この緑の部分って、学会の既得権益拡大じゃないの?本当に国策なの?学会は何をするの?と思うわけです。

苦痛が緩和されたという評価(水色の部分)はどうするの?
これは患者委員が言い続けた問題ですが取り入れられていません。

そしてオレンジ色の部分。
治療薬については私も9月9日にヒアリングを受けましたが、疼痛緩和・支持療法のお薬はほとんどが適応外だったり、承認された用法容量が少なく、先生方は投薬に苦慮されています。

医師が研修を受けても、緩和ケアの講座ができても、医療機関が充実しても…薬が無かったらどうなのでしょう。

  
がん対策推進基本計画(変更案)/分野別施策/がんと診断された時からの緩和ケアの推進
緩和ケアの推進にあたっては、「患者の痛みをとる」ための具体的な施策を行ってください。
今回のがん対策推進基本計画(変更案)では研修体制や施設の体制については具体的に記載されていますがそれが患者の痛みの緩和に本当に繋がるものなのか評価については書かれていません。まず除痛率についてなどどうするかについて具体的な施策をお願いします。
また医師に対して広く浅く緩和ケアの研修をするのが本当に効果があるのか、それともしっかりとした専門医師を適切に配置するのがいいのか…その辺が見えづらいです。
これでは学会の既得権益拡大のための施策のようにしか見えません。
緩和ケアがの学会については、ガイドラインなどについてもまだまだでありもっと痛みをとるための治療薬の承認のために努力することやガイドラインを作る、臨床試験を行うなどやるべき努力があると思います。研修を行うだけでなく、そういった患者さんが痛みをとる治療にアクセスする、質を上げるための施策を行ってください。

2012年3月29日木曜日

がん対策推進基本計画の改定を患者目線で考えてみよう 011 タバコ対策

うゎー、パブコメ締め切りまであと3日。
みなさん、かけたところからでいいのでこまめにパブコメをネット投稿していってくださいね。

【ご意見の提出方法】
(※)氏名や連絡先を記入することなく、ご意見のみを提出することも可能です。

★インターネットの場合
  1. 電子政府の総合窓口http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495110426にアクセスいただく
  2. ページの下にある「意見提出フォームへ」ボタンをクリックする
  3. 「提出意見」の欄にご意見を記入いただき、「確認画面へ進む」ボタンをクリックする(氏名や連絡先電話番号は任意記入です)
  4. 画面に示される認証番号を入力した後に、「提出する」ボタンをクリックして完了

前回の国の基本計画策定時にはパブコメのほとんどが「タバコ賛成!タバコの規制反対!」というパブコメが大量に入り、計画段階で入っていたタバコ対策が消えたという苦い歴史があります。

筆者が最近議員会館をロビイングしているときに、タバコ対策に反対する人たちが議員の部屋を陳情に回っている姿もみかけており、タバコ対策を辞めろという議員からの圧力は我々患者会にも及ぶこともあります。
(がん対策の陳情にいったら、”タバコはさ、必要なわけ。わかる?”と強くいわれることも…)

パブコメは患者だけが出すものではなく、すべての国民が出せますので、医療者のお力もぜひお借りしたく思います。


ここはもう、基本計画(変更案)の説明は不要です。意見をバシッと書きましょう。

タバコ対策についてはがん患者会連名でこのような要望を出しております。
 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000023yyd-att/2r98520000023z3o.pdf



がん対策推進基本計画(変更案)/分野別施策/4.がんの予防(p22~24)
たばこ対策の推進を強くお願いします。

がんの死亡率の低下には、たばこ対策の推進は欠くことのできない施策の一つであり、平成17年に発効した「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」(たばこ規制枠組条約)では、たばこ対策の推進が、日本を含む締約国に求められています。
日本の喫煙率が先進国と比べて依然高い水準となっている中、国民の喫煙率の低減に向けて、たばこ規制枠組条約で締約国に求められている一連の措置が、次期がん対策推進基本計画において反映されますよう要望します。

がんすごろくの要望に対して回答をいただきました

平素よりJ-CANの活動をご覧いただきありがとうございます。

2012年3月23日に提出された「がんすごろくに対する要望書」に対してJ-CANとして賛同しましたのは以前もこのブログでご報告させていただきました。

★要望はこちら
http://jcan.e-ryouiku.net/bookfile/youbou120323.pdf
なお要望書に「○○○アナウンサー」という記述がありましたが、先方からご本人がボランティアで参加していることもあり企業名を削除してほしいと要望がありましたので、削除したファイルに差し替えました


その後、制作メンバーより回答が届きましたのでご報告させて頂きます。
★がんすごろく回答書はこちら



いただいた回答には、私たち患者団体への協力依頼も含まれておりますが、今後の対応については各団体が検討すべきとの事務局の判断があり、事務局より回答を先方にお送りさせて頂いたと報告がありました。
★事務局からの回答書はこちら


私たちJ-CANとしてましては、回答書の内容をについて、私たちの思いと相容れない部分が大いにありましたので、協力はしない方向で考えております。


今回は賛同いただいた患者団体のみなさま、および声を届けてくださった多くの患者さまのおかげをもちまして「がんすごろく」のホームページは一旦閉鎖され、協議をしていただけるきっかけ作りとなりました。心から感謝申し上げます。


これからもそれぞれのお立場で、がん患者さんとご家族のためにご活躍されることを祈念しまして、ご報告とさせていただきます。
ありがとうございました。

2012年3月27日火曜日

がん対策推進基本計画の改定を患者目線で考えてみよう 010 がん登録

がん登録については、がん対策基本計画1期でも掲げられていますが、各都道府県の事業であるため実施もばらつきもあり、課題が多い問題です。

地域がん登録は欧米などでは制度化されています。
がん登録することで、がんの
  • 罹患数
  • 罹患率
  • 生存率
  • 治療効果の把握
  • がんの地域性
などを把握することができます。
がん登録を分析することで、本当に必要ながんの対策が打ち出せます。

例えば、治療成績がわかれば、どうして差が出るのかということを考え、治療成績向上を目指すことで医療の質を上げていくことができます。

また、ドラッグ・ラグの問題を解決するにあたっても、果たしてその治療を必要としている患者さんがどれだけいるのかというニーズを把握することもできます。

日本では希少がんにおいて罹患者数などもきちんと把握されていないために現状把握が難しく対策が講じられていないこともあります。

がん登録と聞いても「患者にとって何の役に立つの?」と思われがちですが、日本の現状、地域の現状、医療機関の現状を把握し対策を打ち出せるという意味で、患者さんのために返ってきますし、がん治療の向上に必要であることはわかっていただけるかと思います。

いっぽうで、がん登録が国民に正しく理解されなかったり、個人情報の保護をきちんと打ち出せないと日本でがん登録をきちんと法的な位置付けで行うのは難しいと思います。

では、がん対策基本計画(変更案)ではどうなっているのでしょう。


(取り組むべき施策) p21
  • 法的位置付けの検討も含めて、効率的な予後調査体制を構築し、地域がん登録の精度を向上させる。また、地域がん登録を促進するための方策を、既存の取組の継続も含めて検討する。
  • 国、地方公共団体、医療機関等は、地域がん登録の意義と内容について周知を図るとともに、将来的には検診に関するデータや学会による臓器がん登録等と組み合わせることによって更に詳細にがんに関する現状を分析していくことを検討する。
  • 国立がん研究センターは、拠点病院等への研修、データの解析・発信、地域・院内がん登録の標準化への取組等を引き続き実施し、各医療機関は院内がん登録に必要な人材を確保するよう努める。

(個別目標)p21
5年以内に、法的位置付けの検討も含め、効率的な予後調査体制の構築や院内がん登録を実施する医療機関数の増加を通じて、がん登録の精度を向上させることを目標とする。
また、患者の個人情報の保護を徹底した上で、全てのがん患者を登録し予後調査を行うことにより、正確ながんの罹患数や罹患率、生存率、治療効果等を把握し、国民、患者、医療従事者、行政担当者、研究者等が活用しやすいがん登録を実現することを目標とする。
 はい、これもパッと読むと「がん登録」は検討されて進むんだと思うのですが、ここまで9回の連載を呼んできた方はわかりますね。「検討する」は「検討する」でしかないんです。
たとえば、がん対策推進協議会で
○委員A「がん登録どうするんですか?」
○事務局「委員の意見も踏まえて事務局に持ち帰り検討しています」
というやり取りも検討といえば検討です。
そうじゃないですよね、私たちとしては具体的に実行してもらうことが大切です。
現在、東京都などは未だにがん登録を実施していません。
都道府県バラバラでは、分析ができない。
かといって一緒にするには法制化も含めた検討が必要。
そして、こんな大切なものをいつまで「検討」なんだ…と。もうこの5年で実行してほしいと思いませんか?
では、がん登録についてどういう意見を出すといいでしょうか。
がん対策推進基本計画(変更案)/分野別施策/3.がん登録(p21)
がん登録について法制化を検討する場を設けてください。
がん登録は、日本のがん罹患者数、罹患率などが正確に把握でき、今後のがん医療の向上、がんにまつわる政策に繋げることができる大切なものです。
しかし実施していない都道府県も未だにあり、都道府県に任せていては進みません。
国がリーダーシップを持って行うことを明確にし、これまで進まなかったがん登録をすすめるためにも(取り組むべき施策)(個別目標)においては「法的位置づけを検討する」ではなく「法制化を検討する場を設け、法制化を実施する」ど明示してほしい。
というようなのでどうでしょう。
検討するではなく、実行する、実施する…が大切です。

2012年3月26日月曜日

【御礼】日本のがん患者さんに新薬をより早く届けるために無事終了しました

いつも、J-CANのWEBサイトをご覧いただきありがとうございます。

J-CANが共催しておりましたシンポジウム「日本のがん患者さんに新薬をより早く届けるために」が無事終了しました。

各先生方の熱のこもったお話し、またディスカッションに大変感謝しております。

今後もJ-CANとしてひとつの柱である医薬品の問題に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

取り急ぎ御礼まで。

2012年3月23日金曜日

がんすごろくに対する要望書

平素よりJ-CANの活動をご覧いただきありがとうございます。

このたび「がんすごろくに対する要望書」に対してJ-CANとして賛同しましたのでご報告させていただきます。
要望書は事務局より、当該の団体の窓口に対して提出されましたので重ねてご報告申し上げます。
要望はこちら
http://jcan.e-ryouiku.net/bookfile/youbou120323.pdf

子どもたちに、がんについて正しい知識を持ってもらいたいという思いは私たちJ-CANも同じですが、その正しい知識を伝える手段が「すごろく」であるべきなのか。

お子さん自身が小児がんサバイバーであったときに、すごろくに書かれている「がんはうつらない」と3回話すお友達を見たらどう感じるだろう。
お母さんががんサバイバーであるお子さんが、すごろくをしていてどう感じるだろう…。

要望提出にあたっては、要望に名前を連ねた患者会のみなさんや、名前を連ねなくても多くの小児がん患者会の親御さん、小学校に子どもを通わせておられるサバイバーさんなどからもお話しを伺うことができました。
その声が届きますことを心から祈っています。

(J-CAN 一同)

2012年3月22日木曜日

がん対策推進基本計画の改定を患者目線で考えてみよう 009 分野別施策 希少がん

はい、今日もわかりやすいところで「希少がん」について取り上げます。

希少がんについて「がん対策推進基本計画(変更案)」には次のように記載されています。

1.がん医療
(6) その他(18ページ~19ページ
(現状)希少がんについては、様々な希少がんが含まれる小児がんをはじめ、肉腫、口腔がんや成人T細胞白血病(以下「ATL」という。)など、数多くの種類が存在するが、それぞれの患者の数が少なく、専門とする医師や施設も少ないことから、診療ガイドラインの整備や有効な診断・治療法を開発し実用化することが難しく、現状を示すデータや医療機関に関する情報も少ない。
(取り組むべき施策)希少がんについては、患者が安心して適切な医療を受けられるよう、希少がんに関する標準的治療の提供体制、情報の集約・発信、相談支援、研究開発等のあり方について、希少がんが数多く存在する小児がん対策の進捗等を参考にしながら検討する。

(個別目標)希少がんに対しては、臨床研究体制の整備とともに個々の希少がんに見合った診療体制のあり方を検討する。






すでに口酸っぱく申し上げていますが、がん対策推進基本計画は今後5年間の国のがん医療で特にどういうことに重点的に取り組んでいくかを示した計画であるわけです。

昨日3月20日に読売新聞にがん対策推進協議会長の門田先生や私のインタビューが掲載されました。その中で、私は小児がん対策について項目が盛られたことに対しては評価をしました。
やはり小児がんは大人と同じ対策をしていては良くないと思ったこと、これまでまったくもって施策が手つかずだったことなどから当然のことだと思っています。

しかし一方でこの希少がんについては問題があると思っています。


●1点目 希少がんの定義

まず、(現状)ですが、これは希少がんの方たちが置かれている現状をきちんとあらわしています。
ただ、気になりませんか?
希少がんはどのがんまで入るでしょう。

もちろん5大がん(肺がん・胃がん・肝がん・大腸がん・乳がん)は違いますよね。
では
年間22,000人ほど罹患するといわれる膵臓がんは?
年間15,000人ほど罹患するといわれる子宮頸がんは?
年間8,000人ほど罹患するといわれる卵巣がんは?
じつは、定義はないわけです。

ご存じのように膵臓がんはドラッグ・ラグに苦しんでいます。
医療上必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議には、膵臓がん治療薬としてイリノテカンなど他のがんでは20年以上前に適応追加されているようなお薬が必要だという要望が出されています。
5大がん以外はどこかとりのこされている希少がんだなんていう患者会のリーダーもいるくらいです。

ただ、この線引きをはっきりさせることはいいこともあれば悪いこともあります。
例えば、希少がんを1万人以下としたならば、いざ基本計画が実行された時には、卵巣がんはもしかしたら恩恵を受けるかもしれないことがあっても、膵臓がんはダメみたいなことがでてきます。

みなさんはこの点をどう考えますか?


●2点目 小児がん対策の進捗を参考にしながら検討する

2点目が、(取り組むべき施策)ですが、これは希少がんの問題を解決するために何をするのかという具体的な中身です。

私は先に「読売新聞で出した評価」として、大人のがんと違うという背景から小児がんをはっきり打ち出したことを評価したと書きましたが、希少がんはなんでか「小児がんの後追い」にされてます。

一瞬、小児がんがこれからガンガン進んでいって、それに追随するかのような印象を与えますが、これがまさに「霞ヶ関トラップ」です。

小児がんのことを簡単に話すと、実は患者(患児)さんが少ないことからある程度の集約化も必要とされ、小児がん拠点病院(仮)の検討会がこれから立ち上がります。
その予算にもすったもんだあって、最初6億といってたのが、昨年末の政治のごたごたに便乗されいきなり2.5億に減らされるという情報がある筋から飛び込んできました。
慌てて患者委員の天野さんと私とでロビイングをして国会議員の先生方のご助力もあり4億にまで押し戻しましたが4億で何が進むのか…まだまだ予断を許さない状況であると思っています。
また、小児がんは血液がんが多いことや、病気の予後も大人のそれとは違う。また院内学級の問題や兄弟児の問題など検討されていく内容はやっぱり小児特有のものも多いような気がします。

その「進捗を参考にしながら検討する」という言葉を前向きにとらえれば「希少がん拠点病院」作る方向にこれから5年で検討していくのかな…ともとれるのですが、「小児がんの進捗が遅ければ後回しだよ」ともうけとれるわけです。
また、「検討する」とは明記されていますが、小児がんが「がん対策推進協議会」に公的に設置される「専門委員会」であったように、「希少がん専門委員会」が立ちあがるようなことも明示されていません。

(個別目標)のところも同様ですね。
検討するって「どのレベル」で検討するかがまるきり明示されていないのです。


よさそうなことを書いているのに、良く読むと何もやらないと書いている。
まさに、これが「霞ヶ関トラップ」(しつこいっ!)。

みなさんどう思いますか?


パブコメにはどう書くかという筆者の案ですが、
がん対策推進基本計画(変更案)/分野別施策/1.がん医療(6)その他(p18~p19)
●1点目
(現状)の希少がんについて、希少がんの定義をどうなっているのか示してください。5大がんは肺がん・胃がん・肝がん・大腸がん・乳がんのことを指し示すことが国民にも理解されていますが、希少がんについては年間発症人数が何人のがんを示すのかなど具体的な根拠が乏しく、そのことが希少がん対策について具体的な政策に繋がらないのではないかと危惧しています。
●2点目
(取り組むべき施策)(個別目標)については、「希少がん専門委員会を設ける」ことを示してください。小児がんの進捗を踏まえての検討とされていますが、小児がん対策については拠点病院などはこれからきまっていくことであり、5年かけて進められていくことと思います。それを待って希少がんの検討がされることでは遅いと感じてしまいます。
例えばがん対策推進協議会の下に「小児がん専門委員会」が設けられ、問題をあぶりだし、対策の案が出されたように、希少がんについても「専門委員会を設け」具体的に問題点をあぶり出し検討をはじめることが必要だと考えます。
実際に希少がんでこういう問題に困ってる!というエピソードなども簡単に添えておくとさらに意見に厚みが増すかもしれません。

ただ、いわゆるイチャモン療法系などの話を出すと、「あぁこの人は何でもやれりゃいい科学的根拠に乏しい人やね」と一蹴されるので、きちんとした現実的な提案をされることをお勧めします。

2012年3月20日火曜日

がん対策推進基本計画の改定を患者目線で考えてみよう 008分野別施策 子宮頸がん予防ワクチン

お待たせしました。
では具体的に「次期がん対策基本計画」の気になるところを解説していきたいと思います。

最初は霞ヶ関用語が一番わかりやすい部分を解説したほうがいいと思うので、「子宮頸がん予防ワクチン」について取り上げます。

分野としては「4.がんの予防」になります。
基本計画の個別目標の部分は、主に(現状)(取り組むべき施策)(個別目標)の3つの段落からなっています。
  • (現状)これまでの状況、現在の状況
  • (取り組むべき施策)具体的に施策として何をしていく必要があるのか
  • (個別目標) …取り組むべき施策をおこなうことで何を達成することを目標にするのか
と思ってもらっていいかとおもいます。

  



(現状)22ページ一番下の段落
また、ウイルスや細菌への感染は、男性では喫煙に次いで2番目、女性では最もがんの原因として寄与が高い因子とされている。例えば、子宮頸がんの発がんと関連するヒトパピローマウイルス(以下「HPV」という。)、肝がん
と関連する肝炎ウイルス、ATLと関連するヒトT細胞白血病ウイルス1型(以下「HTLV-1」という。)、胃がんと関連するヘリコバクター・ピロリなどがある。この対策として、子宮頸がん予防(HPV)ワクチン接種の推進、肝炎ウイルス検査体制の整備、HTLV-1の感染予防対策等を実施している  

(取り組むべき施策)23ページ真ん中より下の段落
感染に起因するがんへの対策のうち、HPVについては、子宮頸がん予防(HPV)ワクチンの普及啓発、ワクチンの安定供給に努めるとともにワクチン接種の方法等のあり方について検討を行う。また、引き続き子宮頸がん検診についても充実を図る。肝炎ウイルスについては、肝炎ウイルス検査体制の充実や普及啓発を通じて、肝炎の早期発見・早期治療につなげることにより、肝がんの発症予防に努める。また、B型肝炎ウイルスワクチンの接種の方法等のあり方について検討を行う。HTLV-1については、感染予防対策等に引き続き取り組む。ヘリコバクター・ピロリについては、除菌の有用性について内外の知見をもとに検討する。
(個別目標) ※24ページ冒頭
喫煙率については、平成34(2022)年度までに、禁煙希望者が禁煙することにより成人喫煙率を12%とすることと、未成年者の喫煙をなくすことを目標とする。さらに、受動喫煙については、行政機関及び医療機関は平成34(2022)年度までに受動喫煙の機会を有する者の割合を0%、職場については、事業者が「全面禁煙」又は「喫煙室を設けそれ以外を禁煙」のいずれかの措置を講じることにより、平成32(2020)年までに、受動喫煙の無い職場を実現することを目標とする。また、家庭、飲食店については、喫煙率の低下を前提に、受動喫煙の機会を有する者の割合を半減することにより、平成34(2022)年度までに家庭は3%、飲食店は15%とすることを目標とする。
また、感染に起因するがんへの対策を推進することにより、がんを予防することを目標とする。
さらに、生活習慣改善については、「ハイリスク飲酒者の減少」、「運動習慣者の増加」、「野菜と果物の摂取量の増加」、「塩分摂取量の減少」等を目標とする。
となっています。



つまり、まとめると「子宮頸がん予防ワクチン」の問題については

  • (現状)「子宮頸がん予防ワクチンの接種推進を実施している」
  • (取り組むべき施策)「HPVについては、子宮頸がん予防(HPV)ワクチンの普及啓発、ワクチンの安定供給に努めるとともにワクチン接種の方法等のあり方について検討を行う。また、引き続き子宮頸がん検診についても充実を図る。」
  • (個別目標)「感染に起因するがんへの対策を推進することにより、がんを予防することを目標とする。 
となっています。

パッと見、よさそうな施策に感じますが問題はここです。
  • (取り組むべき施策)「HPVについては、子宮頸がん予防(HPV)ワクチンの普及啓発、ワクチンの安定供給に努めるとともにワクチン接種の方法等のあり方について検討を行う。また、引き続き子宮頸がん検診についても充実を図る。」
つまり、
  • ワクチンの普及啓発やります。
  • ワクチンの安定供給努力します。(筆者注:以前、助成がついたときにワクチンが足りなくなった)
  • そのほか接種の方法や、あり方については検討します。
もう勘のいい方は気付かれたでしょう。

つまりこういうことです。(ちょっと過激な記事ですが

これまで、子宮頸がん予防ワクチンはさまざまな団体の働きかけなどにより公費助成がなされてきました。
2月7日の参議院予算委員会でも三原じゅんこ議員(自民党)の追及に、小宮山大臣はサラッと「これまでと変わらない」と言っていましたが、がん対策推進基本計画では「あり方については検討」となっています。

これは現在進行している「厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会」の議論を睨んでいるとはおもいますが、「公費助成については約束されていない」ということです。
いざ、公費助成がなくなったときに騒いでも、がん対策推進基本計画では約束されていないためひっくり返すのは難しくなると思います。

もちろんワクチンについては費用対効果の面からどうかも考える必要があります。
現在予防できるHPVの型は限られていますが、今後その型は増えるべく開発が進んでいます。
公費を切られることは、少なくとも接種する女児の数へも影響するでしょうから、そういう研究開発の面にも影響を与えるかもしれません。

なんとなくわかっていただけましたでしょうか?

では、具体的にパブリックコメントにはどう書いたらいいでしょう。

  


いきなり本文欄に「子宮頸がん予防ワクチンについては…云々」と書きなぐるのもありではありますが、頭のいいお役人はお作法にこだわりますので、基本的にはお作法に則った書き方をする方がいいでしょう。
(時間がない時はイチイチ細かく書けないので普通に書きなぐってもらっていいです。)
あくまでも筆者ならこう書くということでの参考文章です。
がん対策推進基本計画(変更案)/分野別施策/4.がんの予防(p22~p24)について
(取り組むべき施策)では、子宮頸がん(HPV)予防ワクチンについて、普及啓発および安定供給については具体的に記載されていますが、公費助成については継続を望みます。また基本計画に公費助成の継続明文化を求めます。
国立感染症研究所の発表した「ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンに関するファクトシート(平成22年7月7日版)」によると子宮頸がんは年齢別にみた子宮頸癌罹患率は、20歳代後半から40歳前後まで増加した後、横ばいになる。近年の日本の子宮癌罹患者数の推移では、39歳以下での罹患者数の増加が認められるとされ、若年者がかかるがんであり、予防・検診が不可欠だと考えます。しかし、子宮頸がん予防ワクチンは高額であり、摂取したくても負担が大きいことから、現状どおり公費助成が継続されることを望みます。
みたいな書き方でどうでしょう…。
つまり
  • 1段落目:項目、ページ
  • 2段落目:結論
  • 3段落目:理由
で簡潔に書きます。
理由の部分ですが、今回、ブログに書くのでややこしいこと書きましたが、普通に「あんな高いワクチン娘が2人いる我が家では打てません!」でいいと思います。
今回、一番わかりやすそうな部分を取り上げて、お作法含めて書きましたが、次回はもうちょっと簡潔に進めていきたいです(疲)。
 

追伸

個人的にはこのこの署名提出時に私も帯同しておりまして、記事および写真をじっくり見れば分かる通り、小宮山洋子議員も紹介議員として帯同していたわけです。
http://lohasmedical.jp/news/2010/07/21133723.php
それが彼女が大臣時代に、梯子を外すような方向に舵を切るとは…。ついついボヤキたくもなります。
大臣、あんたの信念どこにありますねん。(失礼)

(J-CAN事務局 片木美穂)

がん対策推進基本計画の改定を患者目線で考えてみよう 007分野別施策 概要

前回のがん対策推進基本計画の改定を患者目線で考えてみよう 006表紙~全体目標までの記事で、「霞ヶ関文章のお作法トラップ」に引っかからないように書いたところ、「なんでそんな文章が書かれているのか」と熱心な読者様より質問がありました。

正直、何でといわれても役人ですら「そういう決まりです」としか答えられないのではないかと思うのですが、厚生労働省の役人はおよそ2年ごとに部署を移動します。
なので、施策を作った人がその責任を持って実行するとは限らないわけで、つまり「誰がどのように施策に則り業務を遂行しても、同じように仕事ができるよう、その考え方や背景が示されているのではないかな」と思ってます。


では、今回の本題に入って行きましょう。
007回では、6ページ下の「第4 分野別施策と個別目標」に入ります。

この分野では、これから国が5年間で取り組む9つの分野について触れられています。

1. がん医療
(1) 放射線療法、化学療法、手術療法の更なる充実とチーム医療の推進
(2) がん医療に携わる専門的な医療従事者の育成
(3) がんと診断された時からの緩和ケアの推進
(4) 地域の医療・介護サービス提供体制の構築
(5) 医薬品・医療機器の早期開発・承認等に向けた取組
(6) その他
2. がんに関する相談支援と情報提供
3. がん登録
4. がんの予防
5. がんの早期発見
6. がん研究
7. 小児がん
8. がんの教育・普及啓発
9. がん患者の就労を含めた社会的な問題



前回の基本計画から引き続いて入っている「がん登録」「がんの予防」などの項目に加え、今回では「小児がん」「がん教育」「がん患者の就労を含めた社会的な問題」というものが入ってきました。

まぁ、学校の夏休みの宿題での読書感想文なんかは、目次を読み、あとがきを読めば適当に内容を推測しこの項目は良かったとほめちぎれば原稿用紙は埋まるわけですが、がん対策は私たち患者・家族にとっては「救えるいのちを救う」という意味でも大きな意味を持つので「この項目」が入ったで満足していては何も良くなりません。

実行してもらえるのか、またそれが適切なのか評価しなくてはいけません。

正直、これをひとつひとつ解説していくとキリがないので、008回からは、筆者が気になるところを抜きだして解説していきたいと思います。
それを参考に触れない分野でも、みなさんが関心あるところはチェックし、意見を出していただけたらと思います。

今回のまとめは
「項目が入っても、中身がなければ絵に描いた餅。中身をチェックするという意識を持つこと。」

続きを待たれよ。

2012年3月18日日曜日

がん対策推進基本計画の改定を患者目線で考えてみよう 006表紙~全体目標まで

さて、がん対策推進基本計画を印刷準備できましたか?

一緒に開いていきましょう。

  • 表紙(すぐめくる)
  • 目次(後で逆引きするときに必要だけど、すぐめくる)
と進んだら、【はじめに】(P1~)の項目が出てきます。

多分、J-CAN待っていたらいつになるかわからへん!と先に始めた方はここで挫折したのではないでしょうか。

ここは、いわゆる国のがん対策のあらすじです。
こういう背景があるから計画を作ったんだよという話しであり、どうでもいい話なので飛ばします。

2月1日のがん対策推進協議会では、ここに書いている2ページめ真ん中にある「がん患者を含めた国民が、がんを知り、がんと向き合い、がんに負けることのない社会」の実現を目指す。」という言葉を取り上げ、「勝ち負けでいうのはどうか」といった途端、その言葉の是非で20分も議論がありました。
こういうキャッチフレーズはお役所がスローガン的に掲げるものであります。
それが「負けることのない」じゃなくて「共存」になったら誰かのいのちが救われるんですか?という話なのです。
それよりまずは、救える命のために国が何をするべきかを論じたほうがいいでしょう。

2月1日の協議会以降に筆が止まったのは、こういうくだらないやり取りが他にもあり、協議会を見ていて頭にきたからです。
そういうちょっとした言葉の修正などは事前レクでやっていれば済む話だったり、会長に事前に言っておいて会長が事務方に指示すれば1分で終わる話なんです。
ご理解いただけましたか?
「はじめに」のページもどうでもいいので後回しです。

【第1 基本方針】(P2)は、
この計画に書きこまれる事柄の方針です。ここも決まり切った形なので読み飛ばします。
簡単にいえば、患者の視点に立った計画であることや、国および自治体が重点的にやるものを書いてるんだよということです。

それぞれの施策については3段階に分かれています。
またどうしてその施策について取り組むのかの説明が概略が書いてあります。
後から時間があれば読んでもらえばいいものですが、簡単に紹介しますと

【第2 重点的に取り組むべき施策】(P3)は、がん対策の中でも特に重要な施策として取り組むものです。

  1. 放射線療法、化学療法、手術療法の更なる充実とこれらを専門的に行う医療従事者の育成
  2. がんと診断された時からの緩和ケアの推進
  3. がん登録の推進
  4. 働く世代や小児へのがん対策の充実
4点が挙げられています。
前回の基本計画とあまり変わってないのですが4の働く世代や小児がんが入ったのは評価できます。
ちなみに3月1日の協議会で本田麻由美委員(読売新聞)が「働く世代のがん対策は私がお願いしていたものなので入ったことを評価します」とおっしゃってましたが、確かに本田さんもおっしゃってましたが、これは患者委員も発言してましたし、手柄横取りみたいな真似は辞めたほうがいいと傍聴席ではささやかれておりました。

【第3 全体目標】(P5~)
こちらは2007年からの10年間の目標なので5年後まで触れませんので飛ばしますが項目としては
  1. がんによる死亡者の減少
  2. 全てのがん患者とその家族の苦痛軽減と療養生活の質の維持向上
  3. がんになっても安心して暮らせる社会の構築
となっています。

つまり、表紙~6ページの上の方までは「時間があれば読む」程度で飛ばして大丈夫です。
これを知らないと、この6ページまでで霞ヶ関用語の難しさに脳みそが煮沸され心がへし折られます。ただ、これはお役所としての文章のお作法なのでどうしようもありません。
なので無視、もしくは後回しです。この辺はわかっている人間にお任せということで。

つまりまとめとしては
「パブコメ書きたければ6ページまでは霞ヶ関文章お作法トラップにはまるので(先に)読まない!」
これがポイント。


本題はこれからです。ということで007へ続きます。
(J-CAN事務局 片木美穂)

がん対策推進基本計画の改定を患者目線で考えてみよう 005パブコメの準備をしましょう

みなさん、こんにちは。
パブコメ提出まであと2週間を切ってしまいました。
ここからはJ-CANが怒涛のブログ更新をしますので、一緒にパブコメ提出まで頑張りましょう!

さて、パブコメを提出する前に準備が大切です。

用意するもの
  • がん対策推進基本計画(変更案)   PDF をプリントしたもの1部
  • ボールペン(書きやすいもの)
  • 蛍光ペン(個人的には無印良品のノック式が蓋の取り外し不要で便利)
  • J-CANのブログ(ここ)
  • 少しのやる気
  • 少しの勇気
変更案をプリントすることに、ペーパーレスの時代に反感を持たれる方もいるかとおもいますが、画面を行ったり来たり、直接書き込めないためメモをとったりしているとその方が面倒くさく、時間がとられるので、私は印刷をしたほうがいいと思います。
そしてなにより書き込める!
付箋はあればつかってもらってもいいですが、どうせ捨てる紙なんだから必要なところは折り曲げてドックイヤーすればいいと思いますので割愛。

用意できましたか?

ではこのあとの006から内容を詳しく見て、実際に書いていきましょう。シーユーアゲインスーン。
(J-CAN事務局 片木美穂)

2012年3月10日土曜日

がん対策推進基本計画の改定を患者目線で考えてみよう 004パブコメを出してみましょう

あっ!というまに、3月も10日が過ぎてしまいました。

実は、この連載「がん対策推進基本計画の改定を患者目線で考えてみよう」ですが、2月1日のがん対策推進協議会のあと、更新ができずにいました。

理由としては2月1日の協議会が「公開事前レク」かと思うくらい酷かったこと。その時に提示された「がん対策推進基本計画(案)」では、今後5カ年の計画としてまずいという表記がたくさんあり、修正のため、厚生労働省や議員へ理解を求める働きかけのために時間が必要だったことなどがあります。

実際、2月の最後の1週間は議員会館へ毎日のように向かい、議員さんに「ドラッグ・ラグ」の表記部分について確認、お願いをしておりました。
配り歩いた要望文書
 3月1日、第32回がん対策推進協議会が開催されました。
ドラッグ・ラグの部分は、ココだけは変更という患者会の要望はとおり、修正されていました。
患者会委員の天野さん、花井さん、眞島さん、松本さんは基本計画の文書に賛同をされつつも、「必ずや実行してほしい」「患者さんのために必要な対策である」ということをそれぞれ念押しされていました。

それを踏まえて、今度はパブコメで国民の声を聞く段階に入りました。
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495110426&Mode=0

締め切りは4月1日!

しかし、「パブリックコメントってどうやって書けばいいの?」「霞ヶ関文書わかりづらいよー」というみなさんも多いと思います。

そこで!時間が許す限りではありますが、J-CANでは、J-CANが「ここは国民としての声を届けるべきでは?」と思うポイントを解説しようと思っています。

希望があればUSREAMで解説したいところではありますが、どうしようかな。
ま、それは気が向いたらということで。

しばらく休んでいましたが、4月1日の締め切りまでにみなさんが意見を出せるようアシストしますのでこのブログをチェックしていってください!

(スマイリー事務局 片木美穂)

日本のがん患者さんに新薬をより早く届けるために

平成24310
-CAN事務局


公開シンポジウムのご案内
日本のがん患者さんに新薬をより早く届けるために


このたび、J-CANJapanCancerActionNetwork 事務局長:片木美穂)は、厚生労働省「早期・探索的臨床試験拠点整備事業」のがん領域唯一の拠点病院である独立行政法人国立がん研究センター(理事長:嘉山孝正)と共同で、来る平成24324日(土曜日)にドラッグ・ラグと日本発の新薬開発をテーマにした一般の方向けのシンポジウムを開催いたします。ご多用とは存じますが、みなさま方の多数のご参加を賜りますようお願い申し上げます。

[日 時] 20120324日(土)1330分~1630分(開場1300分)

[会 場] 大手町サンケイプラザ 4階ホール(東京都千代田区大手町1-7-2

[主 催] 独立行政法人国立がん研究センター
厚生労働省「早期・探索的臨床試験拠点整備事業」/
がん研究開発費「がん治療の早期開発試験およびその研究体制確立に関する研究」班

[共 催] J-CAN

[司 会] 大津 敦(独立行政法人国立がん研究センター東病院 臨床開発センター)
天野 慎介NPO法人グループネクサス/J-CAN

[プログラム]

1.新しい薬が承認されるまでの仕組みについて
河野 典厚(医薬品医療機器総合機構)
2.海外で使える薬を日本でも使用できるようにするための国の取り組み
宮田 俊男(厚生労働省医薬食品局審査管理課)
3.日本からの抗がん剤開発の問題点
宮田 満(株式会社 日経BP
4.日本からの新薬開発を目指した医師の取り組み
吉野 孝之(独立行政法人国立がん研究センター東病院消化管内科)
5.医療イノベーションの取り組み
八山 幸司(内閣官房 医療イノベーション室)
6.がん患者が求める制度改善の方向性
片木 美穂(卵巣がん体験者の会スマイリー/J-CAN
 総合討論(60分)



●申し込み不要、参加費無料

●ポスターのダウンロード(PDF)
http://e-ryouiku.net/works/0324sinnyaku.pdf

会場へのアクセスへのリンク
http://www.s-plaza.com/access/index.html