- 我が国のがん医療は「がん対策推進基本計画」に則って2007年6月から5年間進められてきたこと
- 昨年1年間、厚生労働省の「がん対策推進協議会」で新たな基本計画のために議論が進められてきたこと
- まもなくパブリックコメントが行われるであろうこと
- そしてパブリックコメントは私たちが5年に1度できる貴重ながん対策への意思表示できる機会であること
今回は、パブリックコメントで適切な意見を出すために、「がん対策推進基本計画」がどの範囲のがん対策についての計画であるのかについてお話ししたいと思います。
行政に対して「政策提言」する際にはこの範囲を知ることが大きな成功へのカギとなります。
「がん対策推進基本計画」は、がん対策推進協議会の意見を取りまとめ厚生労働大臣が内閣に提出します。
つまり、5年間の”国”の施策としてがん医療がこれをもとに計画され動いていきます。
そのため、がん対策推進協議会で議論されていること、取りまとめられる骨子は
- 47都道府県全体を見渡して必要ながん対策
- がん種を超え、多くのがん患者さんに対して必要ながん対策
- その他、国が主導して行うことが適当ながん対策
つまり、お住まいの自治体で取り組むべき課題であったりというものは適当ではありません。
また、特定の治療法を承認してほしいといったことも適当ではありません。
(ただし、ドラッグ・ラグは多くの医薬品、多くの患者さんが悩む問題であり、医薬品は厚生労働省および独立行政法人医薬品医療機器総合機構などで審査されていますから国の施策になります。)
ちなみに都道府県に関しては、国のがん対策推進基本計画のあと、「がん医療」「たばこ対策」「がん検診」についての方針を、「がん対策推進計画を推進するための都道府県の主な取組」として、作成することとなっていますのでそちらで議論してもらうよう働き掛けるほうが適切ですし、特定の治療法の承認であれば、それらを議論している審議会などに働きかけることが大切です。いろいろなパブリックコメント読んでると、いい意見なのに、出すべき場所を間違えているなぁと残念になることも少なくありません。
(もちろん、いい意見であっても”お門違い”になるので政策に反映されません。)
目には目を、歯には歯をではありませんが、国のやるべきことは国に、都道府県がやるべきことは都道府県に、学会がやることは学会に、企業がやるべきことは企業に要望することが必要です。
001回のポイント:「守備範囲を知ろう」
- 国の「がん対策推進基本計画」にパブリックコメントを提出する際は、国が計画することが適当であるものかどうか考える。
- どんなにいい提言でも、出すべき窓口を間違えれば活かされない。適当な意見を出していきましょう。
がん対策推進基本計画の改定を患者目線で考えてみよう過去記事
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