2012年1月14日土曜日

がん対策推進基本計画の改定を患者目線で考えてみよう スタート!

2012年も気がつけば2週間が経過しました。
みなさまいかがお過ごしでしょうか?

私たちJ-CANも新年早々ミーティングを持ち、J-CANとして「取り組むこと」として掲げている
  1. ドラッグ・ラグの解消
  2. がん研究の推進
  3. 経済的負担の軽減
  4. 緩和ケアの推進
  5. 相談支援体制の充実
をいま一度しっかりとやっていこうと確認し合いました。
また、昨年はJ-CANの6人全員が多忙すぎたので、組織体制をいま一度見直そうと確認し実現に向けて動き始めています。

私たちJ-CANはネットワークを組んでいる6団体だけでなく、本当にがん医療を良くしたいと願っている多くの方に国のがん医療のこと、がん対策などを知っていただき、時にはいっしょに声を挙げ、行動を起こしていただきたいと願っています。
そのスタートとして、「がん対策推進基本計画」についてみなさんと考えていけたらと思います。

「がん対策推進基本計画」は2007年04月にがん対策基本法が施行された際に定められています。
日本国が、5カ年のがん対策をどのように計画し行っていくのかという計画で2007年6月に策定され、これに基づき国のがん対策は進んできました。

では、あれから5年。
日本のがん医療はどうなったのでしょう。

例えば、がんの標準的治療をどの病院でも同じように行うために「ガイドライン」が多くのがん種で発行されました。
これは大変評価できる一方で、学会や医学誌では日々がん医療に関する新しい発表があり、米国のガイドラインはオンライン上でリアルタイムに書き変わっていきます。
しかし日本のガイドラインは3年に1度、5年に1度という周期での改訂であったり、ものによっては発刊から1度も書き変わってないものもあります。
患者さんのためにこういったがん医療の情報はどうあるべきなのでしょうか。

他にも、がん診療連携拠点病院が整備され、相談支援センターが設置されたりしていますが、これらはがん患者さんの目線にたったものになっているのでしょうか。

…などなど、この5年で改善されたこともあれば、もう一歩踏み込むべき課題、新たに取り組んでもらいたい課題などがあるような気がします。

厚生労働省のがん対策推進協議会では、次の5カ年の「がん対策推進基本計画」を策定すべく2010年12月から議論が進められてきました。

2010年12月10日(第16回)
○がん診療連携拠点病院について

2011年01月28日(第17回)
○がん診療連携拠点病院について

2011年03月04日(第18回)
○患者・家族への支援体制について

2011年03月28日(第19回)
○がんの相談支援・情報提供の今後の在り方等について

(第2期の委員から、第3期の委員へ交代)

2011年06月29日(第21回)
○がん対策推進基本計画の経緯と進捗等について
○がん診療連携拠点病院等の今後の役割等について
○がん患者に対する支援や情報提供の今後のあり方等について
(あらためて基本計画の確認と、2期委員で集中的に議論されたことの確認がされました)

2011年07月27日(第22回)
○がん患者に対する支援や情報提供について
○がん教育について(ヒアリング)
(この会から、ヒアリング→次回集中審議→次々回にまとめた意見を報告という流れになりました)

2011年08月25日(第23回)
○がん教育について(集中審議)
○がん医療について(関係者よりヒアリング)

2011年09月09日(第24回)
○がん教育について(報告)
○がんの手術、放射線療法について(集中審議)
○化学療法について(参考人および政府関係者よりヒアリング)

2011年09月26日(第25回)
○がんの手術、放射線療法について(報告)
○化学療法(ドラック・ラグ)について(集中審議)
○在宅医療・チーム医療について(参考人よりヒアリング)

2011年10月20日(第26回)
○化学療法、ドラック・ラグについて(報告)
○在宅医療、チーム医療について(集中審議)
○がん登録について(参考人よりヒアリング)

2011年11月02日(第27回)
○在宅医療・チーム医療について(報告)
○がん登録について(集中審議)
○がん予防・検診について(参考人及び政府関係者よりヒアリング)
○就労・経済負担について(参考人よりヒアリング)
○サバイバーシップについて(参考人よりヒアリング)

2011年11月21日(第28回)
○がん研究専門委員会報告書について(報告)
○がん登録について(報告)
○がん予防・がん検診について(集中審議)
○就労・経済負担、サバイバーシップについて(集中審議)
○がん対策指標について(参考人よりヒアリング)

2011年12月12日(第29回)
○がん予防・がん検診について(報告)
○就労・経済負担、サバイバーシップについて(報告)
○がん対策指標について(集中審議)
○がん対策推進基本計画骨子案について

2011年12月26日(第30回)
○がん対策指標について(報告)
○次期がん対策推進基本計画の全体構成案及び骨子案について

がん対策推進協議会にはがん研究・小児がん・緩和医療という3つの専門部会が設置され、議論、取りまとめののちがん対策推進協議会に報告、審議がされています。

2007年4月に第1回がん対策推進協議会が開催され、これまで4年9カ月のあいだに、30回協議会が開催され、うち15回の協議がこの1年ほどで開催されています。
いかに推進基本計画が国のがん対策に大きな意味を持つかわかっていただけると思います。

その議論をとりまとめた骨子案をもとに、近い将来パブリックコメントが求められると思われます。
2012年6月からの5年の国のがん計画はこうであってほしいと患者・家族が意思表示できる5年に1度のチャンスです。
ただ、パブリックコメントと言われても、どう書いていいのかわからないし、難しくてよくわからないという方も少なくないと思います。

私たちJ-CANは、みなさんといっしょに「基本計画」について考えていく取り組みを行いたいと思っています。
この国のがん医療をいっしょに考えていきましょう!
仲間のためにいっしょに声をあげていきましょう!
今後5年間の計画が本当に意味のある、よいがん対策になるために。

わかりやすく親しみやすく解説していけたらと思いますので、よろしくおねがいします!


スタート回のポイント:「がん対策推進基本計画について」
  1. 我が国のがん医療は「がん対策推進基本計画」に則って2007年6月から5年間進められてきた
  2. 昨年1年間、厚生労働省の「がん対策推進協議会」で新たな基本計画のために議論が進められてきた
  3. まもなくパブリックコメントが行われるであろう
  4. そしてパブリックコメントは私たちが5年に1度できる貴重ながん対策への意思表示できる機会である
(J-CAN事務局 片木美穂)