2011年3月14日月曜日

血液内科医 森先生より(被災した血液がん患者さんへ)

血液内科医の森勇一先生(佐久総合病院内科)
http://twitter.com/ymori117/より、被災した
血液がん(リンパ腫・白血病など)の患者さんが注意すべき事項について、情報提供をいただきました。

グリベックは継続が望ましいですが、手に入らなければ減薬・休
薬は可能です。1日1~2錠で細く長く続けるのが良いと思います。
慢性骨髄性白血病なら、再燃してもグリベック再開で再度寛解に
できる可能性が高いです。フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ
性白血病はやや難しいですが原則は同じです。

免疫抑制剤も同量で継続が望ましいです。手に入らない場合は、
急に中断するよりは、減量してでも細く長く続ける方が病状の悪
化は少ないと思います。とはいえ、同種移植後GVHDや拒絶反応
だと、2割以上の減量は避けたいところです。優先的に医療にアク
セスしていただくべきと考えます。

リンパ腫や白血病への抗がん剤をどうするかは、病状により大き
く異なります。治療を行っている医療機関と相談できるなら、個々
に相談したほうが良いです。医療機関にアクセス出来ないときは、
原則的には中断が良いと思いますが、リンパ腫・白血病悪化のリ
スクと背中合わせになるのが難しいところです。

○MDアンダーソンの上野先生がツイートされたとおり、抗がん剤や
免疫抑制剤を使用中の方は、被災後の後片付けで屋外に出るの
は避けたほうが良い
です。木材の中のカビ(アスペルギルス)を吸
い込んで難治性の肺炎になったり、怪我をしたときに土中の嫌気
性菌で重症感染を起こす危険があるからです。

抗がん剤・免疫抑制剤・副腎皮質ホルモン剤を使用中で、避難
所で生活している方
は、ウィルス感染予防のため、マスクがあれ
ばマスクをしてください。発熱した場合、抗がん剤は直ちに中断
すべき(腫瘍熱の可能性は残りますが…)ですが、免疫抑制剤
と副腎皮質ホルモン剤は、急に中断しないでください。

骨髄抑制期の注意。人ごみではマスクを。食べ物は悪くなった
ものは避けて。屋外作業も避ける。38度以上の発熱時は抗生剤
使用が望ましいです。点滴可能なら抗緑膿菌性のペニシリンか
セフェムを極量。不可能ならクラビットなどキノロン系経口剤を。オ
ーグメンチンが追加出来ればなお良いです。