2012年3月18日日曜日

がん対策推進基本計画の改定を患者目線で考えてみよう 006表紙~全体目標まで

さて、がん対策推進基本計画を印刷準備できましたか?

一緒に開いていきましょう。

  • 表紙(すぐめくる)
  • 目次(後で逆引きするときに必要だけど、すぐめくる)
と進んだら、【はじめに】(P1~)の項目が出てきます。

多分、J-CAN待っていたらいつになるかわからへん!と先に始めた方はここで挫折したのではないでしょうか。

ここは、いわゆる国のがん対策のあらすじです。
こういう背景があるから計画を作ったんだよという話しであり、どうでもいい話なので飛ばします。

2月1日のがん対策推進協議会では、ここに書いている2ページめ真ん中にある「がん患者を含めた国民が、がんを知り、がんと向き合い、がんに負けることのない社会」の実現を目指す。」という言葉を取り上げ、「勝ち負けでいうのはどうか」といった途端、その言葉の是非で20分も議論がありました。
こういうキャッチフレーズはお役所がスローガン的に掲げるものであります。
それが「負けることのない」じゃなくて「共存」になったら誰かのいのちが救われるんですか?という話なのです。
それよりまずは、救える命のために国が何をするべきかを論じたほうがいいでしょう。

2月1日の協議会以降に筆が止まったのは、こういうくだらないやり取りが他にもあり、協議会を見ていて頭にきたからです。
そういうちょっとした言葉の修正などは事前レクでやっていれば済む話だったり、会長に事前に言っておいて会長が事務方に指示すれば1分で終わる話なんです。
ご理解いただけましたか?
「はじめに」のページもどうでもいいので後回しです。

【第1 基本方針】(P2)は、
この計画に書きこまれる事柄の方針です。ここも決まり切った形なので読み飛ばします。
簡単にいえば、患者の視点に立った計画であることや、国および自治体が重点的にやるものを書いてるんだよということです。

それぞれの施策については3段階に分かれています。
またどうしてその施策について取り組むのかの説明が概略が書いてあります。
後から時間があれば読んでもらえばいいものですが、簡単に紹介しますと

【第2 重点的に取り組むべき施策】(P3)は、がん対策の中でも特に重要な施策として取り組むものです。

  1. 放射線療法、化学療法、手術療法の更なる充実とこれらを専門的に行う医療従事者の育成
  2. がんと診断された時からの緩和ケアの推進
  3. がん登録の推進
  4. 働く世代や小児へのがん対策の充実
4点が挙げられています。
前回の基本計画とあまり変わってないのですが4の働く世代や小児がんが入ったのは評価できます。
ちなみに3月1日の協議会で本田麻由美委員(読売新聞)が「働く世代のがん対策は私がお願いしていたものなので入ったことを評価します」とおっしゃってましたが、確かに本田さんもおっしゃってましたが、これは患者委員も発言してましたし、手柄横取りみたいな真似は辞めたほうがいいと傍聴席ではささやかれておりました。

【第3 全体目標】(P5~)
こちらは2007年からの10年間の目標なので5年後まで触れませんので飛ばしますが項目としては
  1. がんによる死亡者の減少
  2. 全てのがん患者とその家族の苦痛軽減と療養生活の質の維持向上
  3. がんになっても安心して暮らせる社会の構築
となっています。

つまり、表紙~6ページの上の方までは「時間があれば読む」程度で飛ばして大丈夫です。
これを知らないと、この6ページまでで霞ヶ関用語の難しさに脳みそが煮沸され心がへし折られます。ただ、これはお役所としての文章のお作法なのでどうしようもありません。
なので無視、もしくは後回しです。この辺はわかっている人間にお任せということで。

つまりまとめとしては
「パブコメ書きたければ6ページまでは霞ヶ関文章お作法トラップにはまるので(先に)読まない!」
これがポイント。


本題はこれからです。ということで007へ続きます。
(J-CAN事務局 片木美穂)