2012年3月31日土曜日

がん対策推進基本計画の改定を患者目線で考えてみよう 012 緩和ケア

明日がパブコメの締め切りですが、みなさん提出されていますか?
かけたところからでいいのでこまめにパブコメをネット投稿していってくださいね。

【ご意見の提出方法】
(※)氏名や連絡先を記入することなく、ご意見のみを提出することも可能です。

★インターネットの場合
  1. 電子政府の総合窓口http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495110426にアクセスいただく
  2. ページの下にある「意見提出フォームへ」ボタンをクリックする
  3. 「提出意見」の欄にご意見を記入いただき、「確認画面へ進む」ボタンをクリックする(氏名や連絡先電話番号は任意記入です)
  4. 画面に示される認証番号を入力した後に、「提出する」ボタンをクリックして完了

さて、がん対策推進協議会を傍聴していて、一番あかんやろ…と思っていたのが緩和ケアの部分でした。
緩和ケア専門委員会も設置されたはずなんですけどね…。


(取り組むべき施策)患者とその家族が抱える様々な苦痛に対する全人的なケアを診断時から提供し、確実に緩和ケアを受けられるよう、患者とその家族が抱える苦痛を適切に汲み上げ、がん性疼痛をはじめとする様々な苦痛のスクリーニングを診断時から行うなど、がん診療に緩和ケアを組み入れた診療体制を整備する。また、患者とその家族等の心情に対して十分に配慮した、診断結果や病状の適切な伝え方についても検討を行う。

拠点病院を中心に、医師をはじめとする医療従事者の連携を図り、緩和ケアチームなどが提供する専門的な緩和ケアへの患者とその家族のアクセスを改善するとともに、個人・集団カウンセリングなど、患者とその家族や遺族などがいつでも適切に緩和ケアに関する相談や支援を受けられる体制を強化する。

専門的な緩和ケアの質の向上のため、拠点病院を中心に、精神腫瘍医をはじめ、がん看護の専門看護師・認定看護師、社会福祉士、臨床心理士等の適正配置を図り、緩和ケアチームや緩和ケア外来の診療機能の向上を図る。

拠点病院をはじめとする入院医療機関が在宅緩和ケアを提供できる診療所などと連携し、患者とその家族の意向に応じた切れ目のない在宅医療の提供体制を整備するとともに、急変した患者や医療ニーズの高い要介護者の受入れ体制を整備する。

がん性疼痛で苦しむ患者をなくすため、多様化する医療用麻薬をはじめとした身体的苦痛緩和のための薬剤の迅速かつ適正な使用と普及を図る。また、精神心理的・社会的苦痛にも対応できるよう、医師だけでなく、がん診療に携わる医療従事者に対する人材育成を進め、基本的な緩和ケア研修を実施する体制を構築する

学会などと連携し、精神心理的苦痛に対するケアを推進するため、精神腫瘍医や臨床心理士等の心のケアを専門的に行う医療従事者の育成に取り組む。

これまで取り組んできた緩和ケア研修会の質の維持向上を図るため、患者の視点を取り入れつつ、研修内容の更なる充実とともに、必要に応じて研修指導者の教育技法などの向上を目指した研修を実施する。

医療従事者に対するがんと診断された時からの緩和ケア教育のみならず、大学等の教育機関では、実習などを組み込んだ緩和ケアの実践的な教育プログラムを策定する他、医師の卒前教育を担う教育指導者を育成するため、医学部に緩和医療学講座を設置するよう努める。

緩和ケアの意義やがんと診断された時からの緩和ケアが必要であることを国民や医療・福祉従事者などの対象者に応じて効果的に普及啓発する。

(個別目標)関係機関などと協力し、3年以内にこれまでの緩和ケアの研修体制を見直し、5年以内に、がん診療に携わる全ての医療従事者が基本的な緩和ケアを理解し、知識と技術を習得することを目標とする。特に拠点病院では、自施設のがん診療に携わる全ての医師が緩和ケア研修を修了することを目標とする

また、3年以内に、拠点病院を中心に、緩和ケアを迅速に提供できる診療体制を整備するとともに、緩和ケアチームや緩和ケア外来などの専門的な緩和ケアの提供体制の整備と質の向上を図ることを目標とする。
こうした取組により、患者とその家族などががんと診断された時から身体的・精神心理的・社会的苦痛などに対して適切に緩和ケアを受け、こうした苦痛が緩和されることを目標とする。

わー、ラインが派手になってしまいました。

患者のみなさんは緩和ケアに何を望んでいますか?
「身体や精神の痛みをとってほしい」ってことですよね?

でも、実際に行うことの緑の部分は、「人材育成」。黄色の部分は「提供体制」。

確かに医師にきちんと研修を受けてもらって、提供体制が整えばいいことも起きると思いますが、現在行われている研修は1泊2日程度。
それで本当に緩和ケアってできるんですかね?
また、そんなに広く受けるべきなんでしょうか?
正直、この緑の部分って、学会の既得権益拡大じゃないの?本当に国策なの?学会は何をするの?と思うわけです。

苦痛が緩和されたという評価(水色の部分)はどうするの?
これは患者委員が言い続けた問題ですが取り入れられていません。

そしてオレンジ色の部分。
治療薬については私も9月9日にヒアリングを受けましたが、疼痛緩和・支持療法のお薬はほとんどが適応外だったり、承認された用法容量が少なく、先生方は投薬に苦慮されています。

医師が研修を受けても、緩和ケアの講座ができても、医療機関が充実しても…薬が無かったらどうなのでしょう。

  
がん対策推進基本計画(変更案)/分野別施策/がんと診断された時からの緩和ケアの推進
緩和ケアの推進にあたっては、「患者の痛みをとる」ための具体的な施策を行ってください。
今回のがん対策推進基本計画(変更案)では研修体制や施設の体制については具体的に記載されていますがそれが患者の痛みの緩和に本当に繋がるものなのか評価については書かれていません。まず除痛率についてなどどうするかについて具体的な施策をお願いします。
また医師に対して広く浅く緩和ケアの研修をするのが本当に効果があるのか、それともしっかりとした専門医師を適切に配置するのがいいのか…その辺が見えづらいです。
これでは学会の既得権益拡大のための施策のようにしか見えません。
緩和ケアがの学会については、ガイドラインなどについてもまだまだでありもっと痛みをとるための治療薬の承認のために努力することやガイドラインを作る、臨床試験を行うなどやるべき努力があると思います。研修を行うだけでなく、そういった患者さんが痛みをとる治療にアクセスする、質を上げるための施策を行ってください。